
「病院連絡をこれからやっていかないといけないのだけど、自信が沸かないな… 要点をつかんだ病院連絡ができるようになりたい!」
こういった疑問にお答えします。
病院連絡は、難しいです。
なぜなら、相手がいることなので伝わり方が変わってくるからです。
「言った言わない」で病着後に押し問答なんてこともよく発生します💦
病院連絡で気にしなければいけないことは結構あります。
例えば、
- 医師/看護師の雰囲気
- 選定科目の有無
- プレゼン力
上記の点です。
この記事をみれば、
- 要点をつかんだ病院連絡ができるようになる
- I-SBAR-C/MISTを使うメリットとデメリットが理解できるようになる
これらが理解できるようになります!
そして記事を読むことで、
チェックポイント
病院連絡するのがスマートになる
病院連絡でかかるストレスが理解できるようになる
このあたりが明確になってくるはず。

「35年以上勤めてきた消防生活の中で、わたしも長く悩んできた病院連絡をわかりやすく解決していきます!」
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病院連絡で相当悩みました…【隊長する日の朝は胃がキリキリしていた】

「病院連絡しないといけない隊長をする日の朝は、胃がキリキリしていました。」
なぜかというと、病院連絡しなければいけないからです。

「それはわかっているけど、病院連絡ってそんなにしんどいの?」
正確に情報を伝えると、
- 病態を絞り切れず、病院が欲しい情報を伝えきれないストレス
- 医師、看護師への”気遣い”に対するストレス
- 態を把握していても、うまくプレゼンできないストレス
上記のようなことが挙げられ、
わたしは”精神的ストレス = 胃がキリキリ” していました。
病態を把握できずプレゼンが難航することや、病態を把握できても上手くプレゼンできないことは、病院連絡を始めた初期によく遭遇しました。
ただ、医者、看護師への”気遣い”は長年にわたりしんどいと感じてきました💦
批判を受けるかもしれませんが、医師は偏屈です。
そこは病院によって全然違ってくるところですが、わたしが知っている病院には、”鬼医者👹”、”鬼看護師👹”がたくさんいました!
そこに関しては後述する >>【ちょっと悲しい本音も伝えます】ちゃんと伝えても病院の受入体制次第です で紹介しています。
特に、胃がキリキリするのと同時に便が緩くなってもいました😢
もう完全にストレス性胃炎ですよね。
- 簡単な症例でも伝えたいことが上手く伝えられない
- 病院の医師/看護師のクセをつかみきれず苦労…
- 最初の1、2年は症状とメジャーな疾患とを想定して、現場でのプレゼン作りに四苦八苦
- 簡単な症例でも伝え方が下手で

「何を言っているのかわからないよ(怒)」
と言われたことも…。
そんな経験の中で、今回ご紹介する
- I-SBAR-C
- MIST
を活用して、病院連絡を続けていき、徐々に改善していきました。
I-SBAR-C/MISTはあなたの病院連絡スキルを高めてくれる!
I-SBAR-Cは内科疾患から外傷まで幅広く取扱えます。
MISTは外傷に対して使用する病院連絡ツールとして広く普及しました。

「MISTも同様に応用することで、内科疾患の病院連絡でも使用できるかと思います!」
こちらを用いて、病院連絡することで要点を絞ったプレゼンができるようになります。
なぜ、病院連絡がうまくできないかというのは、頭の中で、思考の整理ができていないからです。
例えば、めまいを訴えている傷病者の場合

・めまいを訴えているけど、熱があるんだよな…。
・でも、これも既往歴にメニエール病と精神疾患があるから、原因と関係する既往歴伝えた方がいいよな…⁉
こういったもやもやした状態では、まとまったプレゼンを行うことができません。
そこで活躍したのがI-SBAR-C/MISTでした。

「何がいいのかというと簡潔にまとまること」です。
具体例を示しましょう。
まずはI-SBAR-Cからです。
I-SBAR-C
I-SBAR-Cとは何かについてですが、下記にまとめました。
I-SBAR-Cは病院連絡のときに使う「ひな型」です‼
使うことで、病院連絡が苦手な人もまとまった病院連絡ができます。
特に内因性疾患の際、使用するのが効果的です。
意味は上記に記載のとおりで英語の頭文字をとったものです。
具体例をみていきましょう。
(例1)アナフィラキシーショック
指令内容 「24歳男性、トイレ内で息苦しさを訴え、様子がおかしいとのことで救急要請。」
I ⇒ わたしは、救命士の○○です。
S ⇒ 24歳男性、呼吸困難のため救急要請。アナフィラキシーショック疑いです。喘鳴、発汗著明。喉の違和感を訴えています。
B ⇒ 18時から忘年会で飲食していたところ、19時30分頃から、息苦しさを訴えはじめました。えびアレルギーがあるのに茶碗蒸しのえびに気づかず食べたようです。
A ⇒ 意識レベル清明、呼吸30回/分、喘鳴、脈拍120回/分、血圧130/80mmHg、spo2値ルームエアー86%、体温36.5℃です。酸素投与を10ℓで90%。呼吸障害です。
R ⇒ 収容いかがでしょうか?
C ⇒ (10ℓ投与の指示が合った場合) わかりました。酸素投与10ℓまであげて搬送します。 ※収容依頼の返事・医師の指示を復唱し確認する。
もう一つ、提示しましょう。
(例2)腹痛
指令内容 「80歳女性、1時間前から腹痛と吐き気があり救急要請。意識あり、呼吸あり。」
I ⇒ わたしは、救命士の○○です。
S ⇒ 80歳女性、1時間前からの腹痛と嘔気。現在、腹部中央痛を訴えています。嘔気と下痢があり夕食は18時頃、カキフライ定食を食べました。ご家族で同じものを食べた人はいません。
B ⇒ 高血圧症の既往があり内服中です。
A ⇒ 意識レベル清明、呼吸24回/分、脈拍120回/分、期外収縮あり、血圧117/71mmHg、spo2値ルームエアー95%、体温37.2℃です。
R ⇒ 収容いかがでしょうか?
C ⇒ 収容依頼への返事・医師の指示を復唱し確認。

こういったように、病院連絡ツールを活用して連絡すれば、ある程度、まとまった連絡ができるようになります。
ただ、そこまでに過程が重要です。
そこで使用するのが臨床推論シートです。
臨床推論シートにのっとり、指令内容から様々な情報を収集して病院連絡まで結びつけていくのです。
例えば、くも膜下出血の場合は、
そして病院連絡です。
もう1症例みてみましょう。急性心筋梗塞の場合は、
そして病院連絡です。

一朝一夕で簡単にできるものではないですが、日々シミュレーションしておくと必ず現場で活きてきます!コツコツ続けましょう。
▼臨床推論について詳しくは下記の記事にまとめました。
→ 臨床推論ができるようになると病院連絡が伝わりやすくなるよ!
MIST
MISTについても例を見ておきましょう。

「MISTを使用するときは、頭に年齢/性別を加えて、IとMを入れ替えて応用するのも1つの手段です。
そうすることで、
・話がスムーズになる
・命に関わらない”Injury”より先に、より重症な症状を認める可能性の高い”Sign”を先に伝えられる
ので、”重要なことを先に”送ることができます。」
応用版で解説します。
名前/年齢 ⇒ 45歳男性。
M ⇒バイクと乗用車の事故で、バイク運転手が転倒しました。
S ⇒ 現在は、冷汗・冷感著明で、血圧測定不能。
I ⇒ 腹部に打撲痕を認めます。
T ⇒ 処置としては酸素投与と全脊柱固定を行っています。
高リスク受傷機転/ロード&ゴー適応、腹腔内損傷によるショック状態と判断し、貴病院へ収容依頼していますが、収容いかがでしょうか?

💭「伝え方はわかりました💡確かに自分の伝え方が甘かったなって感じています。
でも、伝える過程が難しいですよ...💦」
そういったことを考えたひともいますよね。 それには学習が必要です。
学習には スクリプトで学ぶ救急活動プロトコール を活用して学ぶとスムーズな連絡ができるようになってきます。
こちらについては別記事で紹介しています。
参考>>【救急隊員の病院連絡】ファーストコールするための過程が最も大事!わかりやすい病院連絡のため臨床的推論を学習するべき理由
ですので、病院連絡ツールを活用することで、要点をつかんだ病院連絡ができるようになります。
I-SBAR-C/MISTで送るための情報収集【結論:OPQRST/SAMPLERで聴取しよう!】
I-SBAR-C/MISTは有益な情報連絡ツールです。
ただし、連絡するための情報収集をちゃんとできていないと上手く伝えることはできません。
そのために活用するのに役に立つのがOPQRST/SAMPLERです!
なぜ良いのかというと、
- 病院連絡において聞かれる内容を把握できる
- 伝えたい内容を網羅的に聴取できる
からです。
具体的な「病歴聴取」内容は下記のとおりです。
- OPQRST
- ・O(Onset):発症様式
・P(palliative/provocative):増悪・寛解因子
・Q(quality/quantity):症状の性質・ひどさ
・R(region/radiation):場所・放散の有無
・S(associated/symptom):随伴症状
・T(time course):時間経過
- SAMPLER
- ・Signs&Symptoms:どのような症状か
・Allergy:アレルギー歴
・Medications:内服薬
・Pertinent past medical history:症状と関連のある 既往歴
・Last oral intake:最後の飲食は?
・Events preceding:何時、何が、どのように起こったのか?
・Rick factors:環境、社会的、精神心理的、家族・生活

「どうでしょうか?内容を網羅的に聴取できていますね!」
・症状や主訴を理解したいなら、OPQRSTが最適。
一方で、
・傷病者背景を含めて、”抜けなく”情報収集する。これにはSAMPLERは適します!
両者を使い分けすることで、傷病者の情報を送りたいときの情報はほぼ網羅することができます。
とはいえ、病院からの要望まで網羅することはできていません。
具体的には、
- 迎えにくるキーパーソンは来るのか?
- 履物やおくすり手帳(または内服薬の現物)の確認
- 介護保険に入っているのか?生活保護受給者なのか?
などです。

「まあ、ここに関しては病院によって聞かれることもあれば、聞かれないこともあって…網羅的に聴取する範疇ではないと考えています。」
話を戻します。OPQRST/MISTは有益な情報収集ツールです。
よい病院連絡のために、情報収集もスムーズに網羅して聴取できるようになりましょう。
【ちょっと悲しい本音も伝えます】ちゃんと伝えても病院の受入体制次第です
ちょっと悲しい本音も伝えます。ちゃんと伝えても病院の受入体制次第です⤵
ここまで話をしてきましたが、すべては”病院の受入体制による”ところがめちゃくちゃ大きいです。
なぜかというと、いくら上手い病院連絡をしても、病院側の都合や体制によって断られる可能性があるからです。
例えば、
- ベッド満床で受入できない
- 元々、受け入れするつもりのない医者が当直だった
- 癖のある看護師で医師に伝える前に断られた
などです。
そんなことあるの?ってレベルの話ですよね。 でも実際にそういうことが起こっています。
なので、こんな対策をすることも…。

「この病院の医師(看護師)では、帰りはどうするの?って聞かれるから、その対策をして病院連絡しなければいけないな…」
こんな対策をして病院連絡をしているケースも多々あります。
素晴らしい病院連絡”だけ”では、病院連絡として十分ではないのです。 病院対策として、どういったことを気にしなければならないかは >>【救急隊員のための病院連絡】病院連絡で学んだこと【医師に怒られないチェックリストを解説】 で紹介しています。

「つらい思いをする前に、まずチェックしてみてください。 正確な情報を送れる+特定病院での対策 ができれば素晴らしい救急隊員です。」
また、病院連絡で苦しむポイントをまとめた記事も書いています!
こちらの記事を読むことで”疲れる病院連絡”を理解して疲れを最小限に抑えることができるようになります!
本記事を読むだけでも十分、病院連絡するスキルアップには十分です。十分だと思った人は見ないでください!
しかし、あなたがもっと病院連絡の未来を良いものにしたいと思った方はこちらの記事を読むメリットありです!
【I-SBAR-C/MIST】わたしは使うようになって”疑う病態”がハッキリした!
I-SBAR-C/MISTを使うようになることで、わたし自身、一番メリットと感じたことは、”疑う病態”がハッキリするようになったことです。
なぜなら、病院連絡するために必要な情報を考えるときに、必ず仮説を立てて病態を絞らなければいけないからです。
具体的には、
- 腹痛を訴える傷病者だけど、それだけでは何科の病院を選定して、何を疑って搬送するのかハッキリしませんよね。
- OPQRST/SAMPLERで情報収集し、ある程度病態を絞って、I-SBAR-C/MISTで完結に伝える!
- これを実行することによって、先ほどの腹痛のように、”絶対これ”ということができないケースで、
- 疑う病態を3つくらいに絞ることができます。
腹痛のケースでは、急性胃腸炎、急性心筋梗塞、胆嚢炎などですね。
- それで想定した疾患から、想像して急性胃腸炎で起こる症状、急性心筋梗塞で起こる症状、胆嚢炎で起こる症状と”疑う病態”から疾患を検索できるようになりました。
- ファーストコールする時も、「○○を疑っております!」と明確にいえるようになりました。
もちろん、疑う病態を絞り切れないケースもあります。
そういった際の結論は、
「絞り切れないのは、どの救急隊もほとんど変わらない。だから、外してはいけない疾患を想定して病院を選びましょう」
ということです。

「救急隊の資器材では検査も限られています。
無用に現場滞在を延長するより、緊急度/重症度を判断し、病院選定をしていく方が建設的です。」
その際は、
- 疑う疾患を絞り切れていません。
- けれど、くも膜下出血はあったら怖いので、脳神経外科のある貴病院を選定しました
と正直に伝えたほうがいいかもしれません。
I-SBAR-C/MISTを使うことは病態を絞る上で有益です。
わたし自身も、疑う病態をハッキリ言えるようになったと実感しています。
この思考法をより確立するためにはさらにやるべきことがあります。
それが臨床的推論です!
救急隊として仕事をする上で欠かしてはいけないノウハウ...それが「臨床的推論」です!

「病院連絡をする上で、どのように病態を絞っていくのか...
ここの精度を極めていくものです。
それができる人は必然的に病院連絡も上手です!」
詳細は、「【救急隊員の病院連絡】ファーストコールするためには”過程”が最も大事!わかりやすい病院連絡のため臨床的推論を学習するべき理由 」にて解説していきます。
\LINE登録で救命士勉強に役立つ教材を無料プレゼント中/
まとめ:【相当悩んだ病院連絡】I-SBAR-C/MIST活用でファーストコールに自信がつく!
まとめです。
結論は、「I-SBAR-C/MISTを活用することで病院連絡に自信が湧いてくる」ってことです!
病院連絡は誰もが最初は緊張して、本当にこれで大丈夫?って思っています。
本質部分からいえば、”慣れてさえくれば、要点を絞った聴取、病院連絡ができるようになる”のですが、最初はそうはいきません。

「苦手意識を持ってしまうと上手くいくものも上手く伝えられず、苦手意識だけ増大するパターンの救急隊員もみてきました。」
その不安を少しでも和らげるのにも、病院連絡ビギナーにもおすすめしたい病院連絡ツールです。

「これをマスターすれば、病態をつかむ精度はメチャ高くなります。」
きっと医師からも、要点をつかんだ病院連絡ができていると褒めてもらえるはず(たぶん笑 ”たぶん”の理由は、なぜかって?⇒先生によるから)
今回は以上です。
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