
「消防士の人事評価なんて適当!それが、近年は異なる動きがみられている!?」と聞いたのですが、実際にはどうなのですか?
・人事評価制度とは
・とある消防署の人事評価|実際に行われている内容
・消防署人事評価の実情|3つの気になることを紹介
・今すぐ実力成果主義の世界に挑戦したい【結論は転職する】

「わたしの息子が現役消防士。実際に行われている消防署の人事評価制度について実情をこの記事を通して発信します。」
こんなことを知りたい人におすすめの記事内容です。
それではいきましょう!
人事評価制度とは?

人事評価制度は、職員の業績を適切に評価し、給与や昇任に反映させる制度のことです。
ただ、公務員は利益を追求しない職業。業績を評価することが難しい仕事ではあります。
ここから
- 人事評価制度の背景
- 人事評価制度の目的
- 「メンバーシップ型雇用」と「ジョブ型雇用」
について、順に解説していきます。
人事評価制度が背景
人事評価が導入された背景には、年功序列制度の存在があります。
人事評価制度は、年功序列制度を廃止するために導入されたと言っても過言ではありません。
年功序列制度下では下記のような弊害が生じます。
・モチベーションの低下
・業務効率の改善をしない
「その現状にメスを入れ、市民からのニーズに応えられる職員を増やしたい」
これが根底にあります‥
そういった背景もあり、職員1人1人に正確な評価を行うため人事評価制度が導入されました。
人事評価制度の目的
人事評価の目的を箇条書きで挙げると、
- 能力・実績に基づいた人事管理の一元化
- 管理職と一般職員のコミュニケーションの活発化
- 組織全体の士気高揚
上記の点が挙げられます。
上記3点が狙った通りの成果を挙げることで、行政サービスが向上させることができ、結果は市民の求めるニーズを適切に対応できる職員を育てることができるのです。
消防署は典型的な「メンバーシップ型雇用」
人事評価制度の本来の目的は、ボトム(下位)層の再構築です。そして、人事評価制度を有益なものにするためには、「ジョブ型雇用」が大前提になければいけません。
別名、「職務等級制度」と呼ばれ、職務の内容を職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)により明確化し、その成果に基づいて、賃金や報酬を決定していく仕組みです。
とはいえ日本では、公務員はもちろんのこと、大部分の日本企業が「ジョブ型雇用」ではなく、「メンバーシップ型雇用」が導入されています。
これまでの消防内で行われていた人事評価は典型的な「メンバーシップ型雇用」。
ジョブ型雇用のように、
職務成果をあまり重要視せず、学歴が職務遂行上のベースとなる知識レベルの差を生み出します。
つまり、「会社に人を合わせる」考え方がベースになっているのです。
働き方の多様化が、新型コロナの影響を受けて一層加速しています。
・テレワーク
・時間差出勤
︙
まだまだ、メンバーシップ型雇用を強く感じる公務員(消防)ですが、いつまでも「ぬるま湯に浸かった状態」ではいられません。
その前段階の検証試験として「人事評価制度」があります。
とある消防署の人事評価|実際に行われている内容
では、実際に消防署でどのように人事評価が行われているのでしょうか。
実際に消防署で行われている内容を挙げていきます。
年に2回面談して評価(中間・期末)。
中間は9月末までに行われ、期末は翌1〜3月末までに行われます。
人事評価のスケジュールは下記のとおり。
1 目標設定期間(4月〜5月)
①目標の設定等被評価者は、評価期間における目標設定等を行い、人事評価記録書に記入する |
②期首面談の実施1次評価者は、提出された人事評価記録書を基に面談を行い、必要に応じて目標の追加、修正等を行う |
2 中間確認期間(9月)【期末評価】
① 自己確認の実施被評価者は、目標に対する進捗状況を確認するとともに、その度合い及び中間評語を人事評価記録書に記載する |
② 中間面談の実施(9月末まで) 1次評価者は、提出された人事評価記録書を基に面談を行い、必要に応じて助言・指導等を行い、中間評語・進捗状況等を記入する |
3 評価実施期間(翌1月〜3月)
① 自己確認の実施被評価者は、目標に対する進捗状況を確認するとともに、その度合い及び中間評語を人事評価記録書に記載する |
② 期末面談の実施1次評価者は、提出された人事評価記録書を基に面談を行い、必要に応じて助言・指導等を行い、中間評語・進捗状況等を記入する |
③ 1次評価の実施1次評価者は、面談内容等を踏まえて評価を行い、人事評価記録書に記載して2次評価者に提出する(メール等) |
④ 2次評価の実施(1月末まで) 2次評価者は、1次評価者とのヒアリング等を踏まえて評価を行い、人事評価記録書に記載して、総務課に提出する(メール等) |
⑤ 評価内容の確認(総務課から確認者へ) 確認者は、1次評価及び2次評価の内容を確認し、必要に応じて再評価等の指示を行うことができる。 再評価の必要がない場合には、評価が確定する |
⑥ 評価結果の開示1次評価者は被評価者に評価結果を開示するとともに、内容について説明する。必要に応じて助言・指導等を行える。 |
上記が実際の内容です。
ざっくり言うと、
- 年間の目標を立てる
- 自己確認の実施
- 1次評価者、2次評価者の面談を受ける(評価を受ける)
上記3点です。
もう少し詳しく解説していきますね。
年間の目標を立てる

年間の目標を立て、人事評価記録書を評価開始初期に完成させます。
ここでの内容に基づいて、中間・期末面談を行っていきます。
例えば、
こんな感じです。
自己確認の実施
中間、期末面談前に評価開始初期に作成した人事評価記録書の内容がどれくらい達成できているのか、自分自身で確認します。
など、今現在の達成率とこれからの課題、修正点などを洗い出していきます。
1次評価者、2次評価者の面談を受ける(評価を受ける)
1次評価者は、係長級。2次評価者は、副課長級が該当します。
1次、2次評価者の面談を受けて、共有の課題目標を立てて期末に達成できるよう軌道修正します。
上記のような流れで、消防署内の人事評価が行われています。
評価内容
評価内容は2つです。
✓能力評価 |
何を評価するのか? ・職務遂行にあたり実際に発揮した能力を評価するもの。職務上とられた行動(取組姿勢や能力が現に現れたもの)を基に評価。 ・潜在的能力や業務に関係のない能力、人格を評価しない。 |
✓業績評価 |
何を評価するのか? ・職務遂行にあたり実際に挙げた業績を評価するものであり、果たすべき役割を目標の形で明確にすることでこの達成度を基に評価。 ・評価期間ごとに設定する目標や与えられた役割について、それがどのくらい達成されたか(貢献できたか)という観点から評価。 |
能力評価と業績評価の目的は上記になります。
そして、S〜Dまでの評価を受けます。
昇給に反映される場合は下記のように受け取る金額も変化します。
評価S ボーナス+10% |
評価A ボーナス+5% |
評価B 変化なし |
評価C ボーナス-5% |
評価D ボーナス-10% |
とはいえ、まだまだ導入していない自治体も多いです。
年間スケジュールは下記のようになっています。
各自治体の導入率についても次の見出しで解説します。
各自治体の導入率
埼玉県での調査データを参考にみてみましょう。
○人事評価制度の活用状況の概要(さいたま市を除く。) | ||||
(令和2年4月1日現在) | ||||
昇給 | 勤勉手当 | 昇任、昇格 | 分限 | |
全職員に活用 | 30 | 39 | 52 | 22 |
一部職員に活用 | 1 | 6 | 2 | 0 |
全職員未活用 | 31 | 17 | 8 | 40 |
計 | 62 | 62 | 62 | 62 |
埼玉県だけにスポットをあてたデータですが、昇給に人事評価制度を取り入れている自治体は約半数です。
勤勉手当 約63%
昇任・昇格 約83%
昇給 約48%
となっています。
消防署人事評価の実情|3つの気になることを紹介

ここまでは、どういった背景で人事評価がはじまり、消防署で行われている人事評価の一例を解説してきました。
ただ、ここまではあくまで建前。
実際、どのように消防士が感じているのか、現役消防士の生の声で、気になるポイントをピックアップしました。
- 給与に反映されるの?
- 若手職員の声は反映されるの?
- 昇給に関わるの?
順に解説します。
給与に反映されるの?
私の職場での人事評価は、ボーナスに反映しています。
とはいえ、高い評価を受けても10万円程度しか年収UPしません。
ボーナスは夏、冬の2回。足しても20万円程度ですよね。
残業の多い部署ですと、年間で20万円の残業代などすぐに得られる金額です。
別に人事評価を頑張って、仕事効率化しても、残業ばかりする職員と給料は大きく変わらないのです。
そしてもう一つ残酷な真実なのが、給与に反映するよう評価しないということです。
その背景に公務員は、利益を求める組織ではないことがあります。
「儲けたら給料に反映する」こういうことが難しいのです。
だから極端に評価をつけず、だいたい【B】評価がつけられます。
若手職員の声は反映されるの?
意外にも若手職員の声は聞いてくれます。
なぜなら、マネジメントしたいと(コミュニケーションをとりたい)上司は考えているからです。
- 人間関係の悩み
- 目標としていること
こういったことを上司も気にかけているのです。
職場環境を把握するのは上司の重要な仕事ですからね!
また、休みの過ごし方はどうしてる?とか、趣味の話などざっくばらんな話もできます。
距離感を縮められて、本当に悩んでいるときに打ち明けられる上司にもなってくれるかもしれません。
昇任に関わるの?
結論、昇任には関わります。
が、一般企業のように成績がよければゴボウ抜きできるわけではありません。
なぜかというと、公務員は階級で定数が決まっているからです。
退職や昇格によって枠に空きが出れば補充される仕組みになっています。
昇任には【S】や【A】評価を取らなくてはいけませんが、
安定して毎年【S】【A】評価を取り、昇任試験でもしっかり点数を取る。
こういった職場内で認められる成績を収め、人事評価も高評価を受ける。
これが実現できれば、昇任を後押しすることにはなるでしょう。
- 消防士の昇任試験ってどういうことするの?
- 消防士は毎年昇進試験が行われています。ふるいをかけて、優秀な人材を幹部として登用するためです。
▼昇任試験についてまとめた記事がこちらです。
→ 【現役消防士が解説する】消防士の昇任試験対策
【消防士の人事評価制度の現状】昇任に即効性はなし‥|3年後に反映!?

とはいえ昇任に即効性はなく、成果が認められるようになるのに時間がかかります。
今年は成果を出したから、翌年には昇給!!
こんなスピード感はありません‥
もし、「ガッツリ成果主義がいい」、「実力で上を目指したい」そう考えている方は、他の職業も選択肢に視野に入れてもいいかもしれません。
人生は一度きりです。
今すぐ実力成果主義の世界に挑戦したい【結論は転職する】
今、消防の仕事に夢中になっているのなら、転職なんて考える必要はありませんが、少しでも
そういう人は、稼げる仕事を探すため行動していった方が人生変わります!
そのためにまず必要なのが自己投資していきましょう。
小さく自己投資して、短期間で回収する‥
このサイクルが回せるようになれば、自己投資することが楽しくなってくるはずです。
例えば、
プログラミングを5万円で学び、2〜3万円の案件を3つクリアできれば回収できますよね。
こんな感じですね!
もう一つの手段は、「転職」です。
2〜3年後を見越して転職に必要なスキル・ノウハウを取得し、高い収入をもらえる仕事に転職。ステップアップしていく方法です。
こういった選択肢もあります。
「実力・成果主義でやっていきたい」と思うのであれば、まず転職エージェントで自分の実力、市場でどれくらいの価値があるのかを知ることからはじめてみるのはどうでしょうか!
消防士の転職に関しては、別の記事で紹介しています。
→ 消防士・救急救命士におすすめ転職サイト/転職エージェント/転職サービス
すぐ行動できないよ!そんな方は、まず自己分析からです!

今の消防の人事評価には不満あるけど、すぐ転職するために辞表は出せないな。
怖いじゃん!!
こういった声もあるでしょう。

そんな方には、まず自己分析して自分を知るところからはじめることがおすすめです。
おすすめは、「グッドポイント診断」、「ミイダス」、「ストレングスファインダー」です。
詳しくは下記の記事を参考にしてください!
徹底比較!自己分析におすすめツール3選 ※作成中です
◯グッドポイント診断 → 自分の強みがわからない悩める消防士へ!グッドポイント診断で自己分析せよ!
◯ミイダス → ミイダスの適性診断は超優秀!消防士にもおすすめしたい3つの理由
◯ストレングスファインダー → 自己分析の定番!ストレングスファインダーを徹底解説 ※作成中です
まとめ|消防士の人事評価制度も目指すべきは「ジョブ型雇用」
今回は消防士の人事評価制度について解説してきました。
まとめると
✓消防士の人事評価制度は、まだまだ形式的
✓上司と部下のコミュニケーションを図る場にはなってきている
公務員はどうしても、”減点方式”になってしまいます。
「問題をどれだけ起こさないか」を重視し、「〇〇を達成できた」などの加点方式は出世に強く反映されていません。
「自分の強みを活かしたい」という方は、もっと違う職業を目指して行動した方が思い描いた人生を送れるように思えます。
自分の強みを活かしてガツガツ出世したいという方には、公務員という仕事は割と合っているように思います。
今回は以上です。
では、また
コメント