紹介予定派遣とは？普通の派遣との違いを図解でわかりやすく解説

「紹介予定派遣とは、よく聞くけど普通の派遣と何が違うの？」

「仕組みが複雑そうでよく分からない…」

そのような疑問をお持ちではありませんか？

この記事では、最長6ヶ月のお試し期間を経て直接雇用を目指せる紹介予定派遣の基本から、多くの方が混同しがちな普通の派遣との違いまで、図解を豊富に使ってわかりやすく解説します。

この記事を読めば、あなたに合った働き方かどうかが明確になるはずです。

紹介予定派遣とは

この章では、紹介予定派遣という働き方や採用方法がどのようなものか、その基本的な概念について詳しくご紹介します。

紹介予定派遣を正しく理解するためには、主に以下の3つのポイントを押さえておくことが大切です。

• 紹介予定派遣の定義｜直接雇用が前提の働き方
• 紹介予定派遣の目的｜企業と求職者のミスマッチを防ぐ
• 派遣期間は最長6ヵ月｜お試し期間のルールと意味

紹介予定派遣の定義｜直接雇用が前提の働き方

紹介予定派遣とは、派遣スタッフとして最長6ヶ月企業で働いた後、あなたと派遣先企業が合意すれば、正社員や契約社員として直接雇用されることを前提とした働き方です。

大きな特徴は、最初から直接雇用という目標が設定されている点です。これは一時的な労働力提供が主な通常の派遣とは異なり、将来的にその企業の一員となることを見据えています。

厚生労働省も、直接雇用をあっせんすることを予定した派遣形態と定義しており、いわば「お試し期間付きの就職活動」と言えます。この期間で仕事内容や職場が自分に合うかを見極められます。

参考：厚生労働省「紹介予定派遣とは」

紹介予定派遣の目的｜企業と求職者のミスマッチを防ぐ

紹介予定派遣のもっとも大きな目的は、働くあなたと雇う企業との間で起こりやすい「思っていたのと違った」という入社後のミスマッチをで防ぐことです。従来の採用では書類と数回の面接で判断するため、実際に働き始めてから仕事内容や社風が合わないという問題が起こりがちでした。

紹介予定派遣では、派遣期間中に実際の業務や職場の雰囲気を体験できます。あなたは求人情報だけではわからないリアルな情報を得られ、企業側もあなたの実務スキルや適性を直接見極められます。

派遣期間は最長6ヵ月｜お試し期間のルールと意味

紹介予定派遣における派遣期間は、労働者派遣法に基づき最長6ヵ月と定められ、原則として延長されません。この6ヵ月間は、あなたと派遣先企業が双方の適性や条件を相互に評価し、直接雇用へ進むかどうかの判断を下すための「お試し期間」と位置づけられます。

期間が明確に定められているため、両者に判断を促す仕組みです。あなたにとっては、この期間中に自身のスキルを具体的に示し、企業文化への適合性を確認する機会となります。同様に企業側も、あなたの業務遂行能力やチーム内での協調性などを評価します。

この期間内に双方の合意が形成されなければ契約は終了し、それぞれが新たな選択肢を模索することになります。この6ヵ月間をどう活用するかが、その後のキャリアを左右する分岐点となり得ます。

紹介予定派遣の仕組み

この章では、紹介予定派遣が実際にどのように機能するのか、その具体的な仕組みや関係者の役割、選考プロセスの特徴などについて詳しく解説します。

紹介予定派遣の仕組みを理解する上で押さえておきたい主な内容は以下の通りです。

派遣社員・派遣会社・派遣先企業の三者の関係性

紹介予定派遣では、「派遣スタッフ（あなた）」、「派遣会社（派遣元）」、「派遣先企業」の三者が関わります。派遣期間中あなたは派遣会社と雇用契約を結び、給与支払いや社会保険手続きは派遣会社が担当する形です。

あなたは派遣会社の従業員として、派遣先企業で業務指示を受けて働きます。派遣期間終了後、あなたと派遣先企業の双方が合意すれば直接雇用契約を結び、雇用主は派遣会社から派遣先企業へ変わります。

事前面接や書類選考はなぜ可能？通常の派遣との違い

紹介予定派遣の大きな特徴として、働き始める前に派遣先企業があなたの書類選考や面接を実施する点が挙げられます。通常の派遣では、事前面接など派遣先が派遣スタッフを特定する行為は原則として禁止されています。

しかし、紹介予定派遣は将来的な直接雇用が前提です。そのため、企業が採用選考に近い形であなたを見極める機会が法的に認められています。

この事前の選考により、企業とあなたが派遣期間開始前に互いの期待値や適合性を深く理解でき、入社後のミスマッチをさらに減らす効果が期待できます。この「面接例外」とも言える措置が、双方にとってより良いマッチングを後押しします。

直接雇用後の試用期間は原則なし｜派遣期間が評価の場

紹介予定派遣を経て直接雇用された場合、原則として企業は新たに試用期間を設けるべきではないとされています。これは、最長6ヶ月の派遣期間自体が、実質的な試用期間としての役割を十分に果たしていると考えられるからです。

この派遣期間中に、企業はあなたの能力や職場への適性を評価し、あなたも企業の文化や具体的な業務内容を理解する機会を得ました。厚生労働省も、直接雇用後の試用期間設定は「望ましくない」と指導しており、これは労働者を二重の試用期間という不安定な状況から保護する意味合いも持ちます。

参考：厚生労働省「第６ 派遣元事業主の講ずべき措置等」p.203

ですので、直接雇用後は派遣期間中の評価に基づき、安定した雇用関係へ移行することが期待されます。

通常派遣・直接雇用（正社員/契約社員）との違い

この章では、紹介予定派遣が、私たちがよく耳にする他の働き方、たとえば「通常の派遣（登録型派遣）」や、企業に直接応募して採用される「正社員」、あるいは期間を定めて雇用される「契約社員」といった働き方と、具体的にどのような点が異なり、それぞれどのような特徴を持っているのかを比較しながら解説します。

それぞれの働き方の違いを理解することで、あなた自身のキャリアプランや希望する働き方に、どの選択肢が最も適しているのかを見極める手助けとなるでしょう。主な比較ポイントは以下の通りです。

これらの働き方の主な違いを一覧表にまとめると、以下のようになります。

比較項目	紹介予定派遣	通常の派遣（登録型派遣）	正社員（直接応募）	契約社員（直接雇用）
直接雇用の前提	あり	なし （例外的に発生する場合あり）	あり	あり
事前の選考（企業による）	あり （面接・書類選考など）	原則なし	あり （面接・書類選考など）	あり （面接・書類選考など）
派遣/試用期間	最長6ヵ月（派遣期間）	契約により異なる（例：3ヶ月更新、プロジェクト終了まで等）	通常3ヵ月～6ヵ月程度 （試用期間）	契約期間による （試用期間が設けられる場合もあり）
初期の雇用主	派遣会社	派遣会社	応募先企業	応募先企業
主な目的	ミスマッチ防止、安定した直接雇用	一時的な労働力確保、柔軟な働き方の実現	長期的な雇用、キャリア形成	特定の期間やプロジェクトでの専門業務遂行など

通常の派遣（登録型派遣）との違い

紹介予定派遣と通常の派遣（登録型派遣）の根本的な違いは、「直接雇用の前提があるか否か」です。紹介予定派遣では、最長6ヶ月の派遣期間後、派遣先企業への直接雇用を目指します。そのため派遣開始前に、企業による書類選考や面接といった選考が実施されます。企業は将来の社員候補として、あなたのスキルや人柄、社風との適合性を事前に見極める意図があります。

対して通常の派遣は、企業の一時的な人材不足やプロジェクト対応が主な利用目的で、直接雇用を前提としません。そのため、原則として派遣先による事前の面接は法律で禁止され、派遣期間も契約により異なります。

要するに、紹介予定派遣は「お試し期間を経て直接雇用を目指す活動」、通常の派遣は「期間契約で柔軟に働く選択肢」と言えます。自身のキャリアプランや状況に合わせ、適した働き方を選びましょう。

正社員（直接応募）との違い

大きな違いは、以下の2点です。

• 入社を決定する前に、実際の職場で働くことを通じて仕事内容や環境を体験できる期間があるかどうか
• 働き始めの初期段階における雇用主が誰になるのか

紹介予定派遣では、最長6ヶ月の派遣期間後、派遣先企業への直接雇用を目指すため、派遣開始前に、企業による書類選考や面接といった選考が実施されます。企業は将来の社員候補として、あなたのスキルや人柄、社風との適合性を事前に見極める意図があります。

対して通常の派遣は、企業の一時的な人材不足やプロジェクト対応が主な利用目的で、直接雇用を前提としません。そのため、原則として派遣先による事前の面接は法律で禁止され、派遣期間も契約により異なります。

要するに、紹介予定派遣は「お試し期間を経て直接雇用を目指す活動」、通常の派遣は「期間契約で柔軟に働く選択肢」と言えます。自身のキャリアプランや状況に合わせ、適した働き方を選びましょう。

契約社員との違い

紹介予定派遣と契約社員の主な違いは、「雇用に至るプロセス」と「初期の雇用主」です。企業が最初から契約社員を募集し、あなたが応募・採用されれば、直接企業と有期雇用契約を結びます。これが一般的な契約社員のスタートです。

一方、紹介予定派遣は直接雇用を目指す手段の一つです。まず派遣スタッフとして派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で最長6ヶ月働きます。期間終了後、双方が合意すれば派遣先企業と直接雇用契約を結びます。この結果、契約社員として雇用されることもあります。

つまり紹介予定派遣は、最終的な雇用形態が契約社員でも、それまでに「お試し期間」を挟める点が大きな違いです。この期間で、本当にその企業で契約社員として働きたいか、仕事内容や職場環境が合うかを見極められます。

紹介予定派遣のメリット

この章では、紹介予定派遣を利用することのメリットについて、特に派遣スタッフ（労働者）の視点から具体的にどのような良い点があるのかを紹介します。紹介予定派遣の主なメリットは、以下の点が挙げられます。

紹介予定派遣を利用する派遣スタッフ（労働者）にとっての主なメリットをまとめると、以下のようになります。

メリットのポイント	具体的な内容
職場環境の事前確認	実際の業務を通じて、社風、人間関係、仕事の進め方などを体験し、入社後のミスマッチを防げる。
未経験分野への挑戦	企業がポテンシャルを評価しやすいため、経験が浅くても直接雇用のチャンスが広がる。
派遣会社のサポート	給与・待遇交渉の代行や、キャリア相談、派遣期間中のフォローなどを受けられる。
納得のいく意思決定	自分に合うかじっくり見極めた上で、直接雇用に進むか辞退するかを主体的に判断できる。

職場の雰囲気や仕事内容を実際に体験できる

紹介予定派遣の大きな利点は、入社前に実際の職場の雰囲気や仕事内容を具体的に体験できることです。求人票や数回の面接だけでは把握しきれない「職場のリアル」を知ることで、入社後の「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを大幅に減らせます。

たとえば、チーム内のコミュニケーションの活発さや、日常的な残業の頻度、上司や同僚との関わり方などを、派遣スタッフとして働きながら肌で感じ取ることが可能です。これにより、自分に本当に合った職場環境なのかどうかを、より確かな情報に基づいて判断しやすくなります。

特に未経験の職種や業界に挑戦しようと考えている方にとっては、この「お試し期間」は非常に価値が高く、納得のいくキャリア選択に繋がるでしょう。

未経験の職種や業界にも挑戦しやすい

未経験の職種やこれまでとは異なる業界へ挑戦したいと考えている人にとって、紹介予定派遣は直接雇用のチャンスを掴みやすい働き方です。企業側は、最長6ヵ月の派遣期間を通じて、あなたの現在のスキルだけでなく、将来性（ポテンシャル）や新しいことへの学習意欲、仕事への適性などをじっくりと見極められます。

そのため、正社員の直接採用では経験豊富な人材が優遇されがちな求人であっても、紹介予定派遣であれば未経験者に対して門戸を開きやすい傾向があります。たとえば、以下のようなキャリアチェンジです。

• 事務職からIT業界のサポート職
• 販売職から企画系の仕事

派遣期間中のあなたの頑張りや成長次第で、上記のようなキャリアチェンジができるでしょう。新しい分野への挑戦には不安も伴いますが、積極的に学び、成果を出そうと努力する姿勢が企業に評価されれば、経験不足を補って採用に至るチャンスが広がります。

派遣会社のサポートを受けながら転職活動を進められる

紹介予定派遣では、派遣会社があなたのキャリア相談に乗ってくれたり、企業との条件交渉を代行してくれたりするなど、さまざまなサポートを提供してくれます。この点は、安心して転職活動を進める上で大きな利点です。

自分一人ではなかなか言い出しにくい給与や待遇といった労働条件の交渉も、派遣会社の担当者が間に入って企業側と調整してくれる場合があります。また、派遣期間中の仕事上の悩みやキャリアに関する不安も、担当者に相談すれば親身にアドバイスをもらえます。

紹介予定派遣のデメリット

この章では、紹介予定派遣を利用する際に派遣スタッフ（労働者）が知っておくべきデメリットや注意点について詳しく解説します。メリットだけでなく、リスクや注意点を理解しておくことで、より賢明な判断ができます。

紹介予定派遣の主なデメリット・注意点としては、以下の点が挙げられます

必ず直接雇用されるわけではない

紹介予定派遣は、直接雇用を前提とした働き方ですが、派遣期間が終了すれば必ず直接雇用されるという保証はありません。これがもっとも注意すべき点です。

求めるスキルレベルに達していない、あるいは社風に合わないと判断された場合などの派遣先企業の判断や、実際に働いてみて希望と異なると感じたなどあなた自身の判断によって、双方の合意に至らず、直接雇用が見送られるケースも存在します。

厚生労働省のデータによると、紹介予定派遣から直接雇用に至った割合は約56.5%であり、100%ではないことがわかります。

参照：厚生労働省「平成30年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」

「紹介予定派遣だから必ず正社員になれる」と安易に期待しすぎず、派遣期間中は常に企業から評価されているという意識を持ち、自身の能力を最大限に発揮することが求められます。

また、万が一、直接雇用という結果につながらなかった場合のことも想定し、次のキャリアステップにもある程度考えておくことが賢明と言えるでしょう。

直接雇用時の労働条件が希望と異なる場合がある

紹介予定派遣を経て直接雇用される際、提示される給与や待遇、雇用形態が、当初の希望や想定と異なる場合があります。派遣期間前に示される条件はあくまで「予定」であり、派遣期間中のあなたの働きぶりや評価、企業の経営状況などによって最終決定されるため、変更の可能性の理解が必要です。

たとえば、「正社員と思っていたが契約社員でのオファーだった」「想定より給与が低かった」というケースも起こり得ます。

これを避けるため、派遣就業前や派遣期間中に、直接雇用後の労働条件について派遣会社を通じて具体的に確認しましょう。最終的なオファーを受けた際は契約内容を細部まで確認し、納得できない場合は交渉や辞退も検討することが大切です。

派遣期間中は正社員と待遇が異なることもある

紹介予定派遣の派遣期間中（最長6ヵ月）は、あなたは派遣会社の雇用スタッフです。そのため、給与支払いや社会保険は派遣会社が実施し、派遣会社の給与体系や福利厚生が適用されます。

結果として、派遣先企業の正社員と比較して、給与水準や賞与の有無、退職金制度、休暇制度、福利厚生施設の利用範囲などで待遇に差が生じることがあります。

たとえば、派遣先企業の正社員には賞与があっても派遣スタッフにはないといったケースです。派遣会社によっては独自の福利厚生制度もありますが、派遣先企業の正社員と全く同じ待遇が保証されるわけではない点は事前に認識しておくべきです。

紹介予定派遣を利用する流れ

この章では、派遣スタッフ（労働者）としてあなたが紹介予定派遣を利用し、実際に派遣先企業で働き始め、そして最終的に直接雇用に至るまでの一般的なステップ（流れ）について、順を追って詳しく解説していきます。
紹介予定派遣の利用の流れには、主に以下の7つのステップがあります。

STEP1：派遣会社への登録とカウンセリング

紹介予定派遣を始める最初のステップは、サービスを提供する人材派遣会社への情報登録です。多くはウェブサイトでオンライン登録が可能で、登録会を開催している場合もあります。

登録時には以下の内容を登録します。

• 氏名
• 職務経歴
• スキル
• 希望職種
• 勤務条件
• キャリアプラン など

登録後、派遣会社の専門コーディネーターやキャリアアドバイザーによるカウンセリング（面談）があります。この面談は、あなたの希望や適性を深く理解してもらうための機会です。具体的に伝えることで、派遣会社はあなたに合った求人を紹介しやすくなります。

STEP2：求人の紹介と応募

派遣会社への登録とカウンセリング後、担当者からあなたの希望やスキルに合った紹介予定派遣の求人が紹介されます。派遣会社は登録情報と企業求人を照合し、最適なマッチングを目指します。

一般には公開されない「非公開求人」を紹介されるケースも少なくありません。求人情報は電話やメール、面談などで伝えられ、仕事内容、勤務地、給与（派遣期間中および直接雇用後の見込み）、企業情報などの説明を受けます。

内容をよく確認し、興味があれば応募の意思を担当者に伝えましょう。

STEP3：派遣先企業による書類選考・面接

興味を持った求人に応募すると、次に派遣先企業による選考プロセスに進みます。これは将来の直接雇用を前提とする紹介予定派遣の大きな特徴で、通常の登録型派遣とは異なります。

まず、あなたが派遣会社に提出した履歴書や職務経歴書が企業に渡され、書類選考が実施され、これを通過すると、派遣先企業の採用担当者や配属予定部署の責任者などとの面接になります。

面接回数や形式は企業によりさまざまです。面接では、経験やスキル、志望動機、仕事への熱意、コミュニケーション能力、企業文化への適合性などが総合的に評価されます。通常の転職活動と同様の心構えで、企業研究や自己分析をしっかり行い、面接に臨みましょう。

STEP4：派遣社員として就業開始（最長6ヶ月）

派遣先企業の選考を通過し内定を得たら、紹介予定派遣の派遣スタッフとして企業での就業が始まります。

まず、あなたを紹介した派遣会社と雇用契約を結びます。その契約に基づき、定められた期間、派遣先企業で業務に従事します。派遣期間は、あなたが仕事内容や職場環境を体験し、企業があなたの能力や適性を見極める「お試し期間」です。

期間中の給与支払いや社会保険手続きは雇用主である派遣会社が担当します。

STEP5：派遣期間終了前の意思確認（双方）

最長6ヶ月の派遣期間が終わりに近づくと、通常、期間満了の1ヵ月～数週間前に、派遣会社を通じてあなたと派遣先企業の双方に直接雇用に関する意思確認があります。あなたが「この企業で直接雇用されたいか」、企業が「この派遣スタッフを直接雇用したいか」互いの最終意向確認です。

派遣会社の担当者が、あなたに派遣期間中の感想や直接雇用の希望、給与、雇用形態など希望条件をヒアリングします。同様に、企業側にもあなたへの評価や直接雇用の意思、採用条件などを確認します。

双方の希望が合致し、条件面でも折り合いがつけば、次の労働条件提示と合意に進みます。ここで合意に至らなければ、紹介予定派遣契約は期間満了で終了です。

STEP6：直接雇用の条件提示と合意

派遣期間終了前の意思確認で、あなたと派遣先企業の双方が直接雇用に前向きな場合、次に企業から具体的な労働条件が正式に提示されます。

提示されるのは、以下のような詳細条件です。

• 雇用形態（正社員、契約社員など）
• 業務内容
• 役職
• 給与（月給、年収、昇給・賞与基準など）
• 休日
• 勤務時間
• 社会保険
• 福利厚生

この条件提示は通常、派遣会社を通じて書面（雇用契約書案や労働条件通知書など）で伝えられるか、企業から直接説明があります。提示された内容は細部まで注意深く確認し、当初の希望と合致するか、不明点はないかをチェックしましょう。

もし納得できない点があれば、安易に合意せず、派遣会社の担当者に相談し、確認や条件交渉を依頼することも可能です。双方が全ての条件に納得し、合意して初めて次の契約締結に進みます。

STEP7：直接雇用契約の締結・入社

提示された労働条件にあなたと派遣先企業双方が合意すれば、最終ステップとして直接雇用契約を締結し、派遣先企業の従業員として正式に入社です。この段階で、あなたは派遣先企業と法的な効力を持つ雇用契約書を取り交わします。

契約書には、合意した給与、雇用形態、業務内容、勤務地、勤務時間、休日、社会保険、福利厚生など、働く上での重要な条件が全て明記されています。署名・捺印前に、記載内容に間違いがないか、これまでの説明と認識に齟齬がないかを最終確認しましょう。

紹介予定派遣が向いている人の特徴

紹介予定派遣が特に適していると考えられるのは、主に以下のような希望や考え方の方々です。

• 自分に合う職場環境かじっくり見極めたい慎重派な人
• 未経験の仕事や業界にチャレンジしてみたい人
• 正社員や契約社員など安定した直接雇用を目指したい人

自分に合う職場環境かじっくり見極めたい慎重派な人

• 「新しい職場選びで後悔したくない」
• 「入社後のミスマッチは避けたい」

上記のように考える慎重な方にとって、紹介予定派遣は適した働き方です。この制度の魅力は、最長6ヵ月の派遣期間中に、派遣先企業の実際の職場の雰囲気や人間関係、具体的な仕事の進め方、企業文化などを直接体験できる点にあります。

求人情報や数回の面接だけではつかみきれない「その会社ならではのリアルな空気感」を肌で感じ、自分に本当に合うか深く考える時間がもてます。過去に転職でミスマッチを経験した方や、新しい環境に慣れるのに時間が必要な方にとって、この「お試し期間」は後悔のないキャリア選択の助けとなるでしょう。

未経験の仕事や業界にチャレンジしてみたい人

これまでとは異なる新しい仕事や業界に挑戦したい方にも、紹介予定派遣は有効な選択肢です。企業側は、最長6ヵ月の派遣期間を通じて、あなたの経験だけでなく、意欲や学習能力、将来性（ポテンシャル）をじっくり見極められます。

そのため、通常の正社員採用では経験者が優遇されがちな求人でも、未経験者に対して比較的門戸を開きやすい傾向があります。たとえ現時点での専門知識や実務経験が不足していても、派遣期間中の努力や成長を示せれば、企業側も前向きに評価し、直接雇用の道が開ける可能性が高まります。

経験の壁を乗り越え、新しいキャリアへの第一歩を踏み出すチャンスを与えてくれる制度と言えるでしょう。

正社員や契約社員など安定した直接雇用を目指したい人

現在アルバイトや派遣社員として働き、「将来的にはもっと安定した雇用形態で働きたい」「正社員や契約社員としてキャリアを築きたい」と願う方にとって、紹介予定派遣は魅力的な制度です。

その名の通り、派遣期間終了後に双方合意の上で直接雇用されることを前提とした働き方だからです。必ず直接雇用される保証はありませんが、制度の目的が直接雇用への橋渡しであるため、企業側も長期的な雇用を視野に人材を探していることが多いです。

たとえば、育児などで一度離職した方の再就職や、非正規雇用からのステップアップを目指す方が、紹介予定派遣制度を利用して目標を達成しています。

紹介予定派遣が向いていない人の特徴

この章では、逆にどのようなタイプの人が紹介予定派遣という働き方にはあまり向いていないのか、その具体的な特徴について詳しく解説します。

紹介予定派遣の利用を検討する上で、ご自身の状況や考え方と照らし合わせてミスマッチがないか確認するために、以下の点を参考にしてください。

• すぐにでも正社員として働きたいと考えている人
• 派遣期間中に選考されていると感じるのが苦手な人
• 短期間で多くの職場を経験したいと考えている人

すぐにでも正社員として働きたいと考えている人

紹介予定派遣は直接雇用を目指しますが、最長6ヵ月の派遣期間が必須です。そのため、「できるだけ早く正社員の身分や待遇を得たい」「派遣期間なしで、すぐに正社員として働きたい」と強く望む方には、この派遣期間が遠回りに感じられるかもしれません。

たとえば、急いで安定収入を確保したい方や、十分なスキルと経験があり「お試し期間」が不要と考える方は、企業の求人に直接応募する方が早く目的を達成できる可能性があります。「職場をじっくり見極められる」というメリットは、「直接雇用までに時間がかかる」という側面も持ちます。

自身の状況や時間的制約を考慮し、この派遣期間が必要か慎重に判断しましょう。スピード優先なら他の選択肢も検討すべきです。

派遣期間中に選考されていると感じるのが苦手な人

紹介予定派遣の最長6ヵ月の派遣期間は、あなたにとって職場を見極める「お試し期間」であると同時に、企業にとってはあなたを直接雇用するか判断する「評価期間」です。つまり、派遣期間中は日々の業務能力だけでなく、勤務態度やコミュニケーション能力なども常に評価されています。

このような「見られている」「試されている」状況に強いプレッシャーを感じたり、それを好まなかったりする方には、精神的な負担が大きいかもしれません。新しい環境に慣れるのに時間がかかり、リラックスして力を発揮したい方や、評価されることに過度に緊張する方は、この期間が窮屈に感じるおそれがあります。

短期間で多くの職場を経験したいと考えている人

一つの企業に長く勤めるより、短期間で様々な企業や業務を経験し、スキルアップやキャリアの幅を広げたいと考える方もいます。もしあなたが、多様な環境で柔軟に働くことを重視するなら、紹介予定派遣は最適とは言えないかもしれません。

紹介予定派遣は、最終的に派遣先企業に直接雇用されることを目指し、長期的な関係構築を前提とするからです。たとえば、以下のような方は不向きです。

• 数ヶ月ごとに職場を変えたい方
• フリーランスのようにプロジェクト単位で関わりたい方
• さまざまな企業文化を体験したい方

このような働き方を希望する場合、通常の登録型派遣や業務委託の方がニーズと合致します。安定と多様な経験のどちらを優先するか考え、働き方を選択しましょう。

紹介予定派遣で直接雇用を勝ち取るための3つのコツ

この章では、紹介予定派遣を利用して、派遣期間終了後に見事、派遣先企業からの直接雇用のオファーを勝ち取り、ご自身の希望するキャリアを実現するための具体的な3つのコツについて詳しく解説していきます。

直接雇用という目標を達成するために特に重要となるのは、主に以下の3つのポイントです。

• 派遣期間中の勤務態度と実績でアピールする
• 企業の求める人物像を理解し、貢献意欲を示す
• 派遣会社の担当者と密にコミュニケーションを取る

派遣期間中の勤務態度と実績でアピールする

紹介予定派遣で直接雇用を目指すには、最長6ヵ月の派遣期間中の「日々の働きぶり」がもっとも強力なアピールポイントです。派遣先企業は、あなたが自社にふさわしい人材か日々観察し評価しています。

時間や約束を守り、挨拶や言葉遣いを丁寧にするなど、社会人としての基本マナーを徹底しましょう。その上で、与えられた仕事に真摯に取り組み、正確かつ迅速に質の高い業務遂行を心がけます。

指示された業務をこなすだけでなく、効率化やチーム貢献を考え主体的に行動することも高く評価されます。たとえば業務改善による時間短縮やプロジェクト目標達成への貢献などがあれば、説得力のあるアピール材料です。

企業の求める人物像を理解し、貢献意欲を示す

派遣期間中にただ業務をこなすだけでは、直接雇用に結びつきにくい場合があります。派遣先企業が「この人を社員として迎えたい」と感じるには、あなたがその企業の「求める人物像」を深く理解し、合致するよう努力する姿勢と、その企業で働きたいという強い「貢献意欲」を明確に示すことが不可欠です。

企業はスキルだけでなく、自社の文化に適合し長期的に貢献してくれる人材を求めています。まず、企業のウェブサイトや資料から理念や社風を学びましょう。

派遣期間中の会話からも、企業が大切にする価値観を感じ取ります。そして、企業が求める人物像を把握した上で、自身がどう期待に応え、貢献できるかを考え行動で示すのです。

たとえばチームワーク重視なら積極的にコミュニケーションを取る、新しい挑戦を奨励するなら改善提案をするなどです。

派遣会社の担当者と密にコミュニケーションを取る

紹介予定派遣で直接雇用を勝ち取るには、あなた自身の努力に加え、派遣会社の担当者との良好なコミュニケーションも成功の秘訣です。担当者は単に仕事を紹介するだけでなく、あなたと派遣先企業の間でさまざまなサポートをする頼れるパートナーです。

派遣期間が始まったら、業務の進捗や職場で感じること（困っていること、直接雇用への意欲など）を定期的かつ正直に報告・相談しましょう。担当者はあなたの状況を正確に把握し、適切なアドバイスや、必要な場合は派遣先企業との調整をしてくれます。

また、担当者は企業側の評価や期待といった情報を持っていることもあり、それは自己改善や効果的なアピールのヒントになります。担当者を信頼し積極的に情報交換を行い、二人三脚で目標を目指す意識が不可欠です。

まとめ｜紹介予定派遣を理解し、賢くキャリアアップを目指そう

この記事では、「紹介予定派遣とは何か」そして「普通の派遣と何が違うのか」を、図解を交えながら分かりやすく解説してきました。紹介予定派遣は、最長6ヵ月の派遣期間を経て直接雇用を目指せる働き方であり、入社前に職場の雰囲気や仕事内容をじっくり見極められる大きなメリットがあります。

一方、通常の派遣は、さまざまな企業や業務を経験したい方や、期間を定めて柔軟に働きたい方に適しています。それぞれのメリット・デメリット、そして仕組みの違いを理解し、ご自身のキャリアプランやライフスタイルに照らし合わせて、どちらの働き方がより自分に合っているかを見極めることが大切です。

この記事で紹介した図解や比較ポイントが、あなたの最適な働き方選びの助けとなれば幸いです。もし迷う場合は、派遣会社に相談してみるのもよいでしょう。