- 「正社員登用あり」の派遣求人をみるけど実際は嘘って本当?
- 実は直接雇用する気はないんじゃないの?
- だまされないようにするためにはどうしたらいいか教えてほしい
上記のように「正社員登用あり」と謳っていたのに直接雇用されなかった話を聞くと、「嘘をつかれた」「だまされた」と憤りを覚えるのではないでしょうか。
結論ですが、紹介予定派遣で「正社員登用あり」は嘘ではありません。
実際に私は派遣で働いていたとき、「正社員にならないか」と声をかけられたことがあります。もちろん派遣として働いている期間、「だまされた」「言ってたことと違う」という思いはしませんでしたよ。
ただし、派遣から正社員になれる確率は低いので、確実に正社員を目指すなら「他の手段」を選ぶべきです。

派遣(紹介予定派遣)から契約社員を経て正社員になったすみが解説します。
関連記事:紹介予定派遣はやめたほうがいい?紹介予定派遣で失敗した私の体験談!

「派遣で正社員登用は嘘」と言われる4つの理由
なぜ「正社員登用は嘘だ」という声が上がるのでしょうか。その背景には、いくつかの誤解や、実際に存在するシビアな現実があります。
- 正社員登用のハードルがあまりにも高いから
- 人集めが目的の「釣り求人」に使われるケースがあるから
- 派遣先は中小企業が多いから
- ほとんどが契約社員雇用だから
すみネガティブな噂を聞くと不安になりますよね。しかし、一つひとつ実態を紐解いていけば、必要以上に怖がることはないですよ。
正社員登用のハードルがあまりにも高いから
紹介予定派遣は「直接雇用」を前提とした制度ですが、誰でも正社員になれるという意味ではありません。企業は最長6ヵ月の派遣期間を、候補者が「正社員として迎えるに値する人材か」を見極めるための、シビアな選考期間と位置づけています。
具体的には、単に与えられた業務をこなすだけでなく、以下のようなスキル以上のヒューマンスキルやポテンシャルを厳しくチェックしています。
- 勤務態度はどうか(遅刻や欠勤はないか)
- 周囲の社員と円滑なコミュニケーションが取れるか
- 指示待ちではなく、主体的に業務改善などを提案できるか
- 企業の文化や価値観にマッチしているか
上記の総合的な評価基準をクリアできなければ、企業側は「今回は直接雇用を見送ります」という判断を下すことができるのです。



派遣だからと受け身で働いていると、このハードルを超えるのは難しいかもしれません。
この人なら、正社員として長く会社に貢献してくれそうだと思わせるだけのパフォーマンスが求められるというのが実態です。
人集めが目的の「釣り求人」に使われるケースがあるから
残念ながら、正社員登用をエサにして応募者を集めるいわゆる「釣り求人」がまったくないとは言い切れないのが実状です。
特に、時給が相場より低い、通勤が不便など、何らかの悪条件を抱える求人で使われることがあります。
このような企業は、初めから正社員として雇用する意思はなく、まずは人手を確保すること自体が目的となっています。そのため、派遣スタッフがどれだけ成果を出しても、最終的に直接雇用に至らないケースが出てきてしまいます。



もちろん、すべての企業が悪質というわけではありません。ただ、このような求人が存在するのも事実です。
後の章で解説する『見極めるためのチェックリスト』を使って、自分の身は自分で守るという意識が大切ですよ。
派遣先は中小企業が多いから
「紹介予定派遣を使うのは、採用にお金をかけられない中小企業が多いのでは?」というイメージを持つ方も少なくありません。
しかし、厚生労働省の調査によると、従業員1,000人以上の大企業ほど、紹介予定派遣を積極的に活用しているデータが出ています。
| 事 業 所 規 模 | 紹介予定派遣を利用したことがある | 利用したことはない(制度は知っている) | 利用したことはない(制度を知らない) |
| 1,000人以上 | 31.0 | 58.3 | 10.7 |
| 300~999人 | 20.8 | 55.9 | 22.7 |
| 100~299人 | 15.2 | 51.5 | 32.0 |
| 30~ 99人 | 10.7 | 41.9 | 45.3 |
| 5~ 29人 | 6.2 | 35.7 | 55.2 |
この表からもわかるように、大企業も採用のミスマッチを防ぐための合理的な手段として、紹介予定派遣という制度を重視しているのです。



私も求人を探していた時、普段なら書類選考で落ちてしまいそうな有名企業の案件をたくさん見かけました。中小企業ばかりというのは、思い込みだったりするんですよ。
ほとんどが契約社員雇用だから
「紹介予定派遣になっても、結局は契約社員どまりなのでは?」という声があるのも事実です。しかし、実際に求人サイトを調べてみると、正社員登用を前提とした案件も数多く存在します。
たとえば、ある時点の求人サイト「はたらこねっと」では、紹介予定派遣の求人3,273件のうち、実に1,564件が「正社員への紹介予定のみ」の案件でした。


また、大手派遣会社「スタッフサービス」では、紹介予定派遣全体の求人2,505件のうち、760件が正社員登用を前提とした求人となっています。


このように、利用する派遣会社によって割合は異なりますが、ほとんどが契約社員雇用ではないことがわかります。


派遣会社によって件数は異なりますが、契約社員登用ばかりではないですよ!
派遣(紹介予定派遣)で正社員になれるは嘘なの?
結論からいうと、嘘ではありません。
なぜなら、私自身がその経験者だからです。過去に、通常の派遣社員として働いていた際に「正社員にならないか」と直接声をかけていただいた経験があります。
その後、改めて正社員を目指すことを決意し、紹介予定派遣の制度を利用して無事に正社員として雇用されました。



最初に声をかけてもらった時はお断りしましたが、自身の体験からも、派遣から正社員になれる道はたしかにあると断言できます。
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- 登録前の相談だけでも対応


本当は直接雇用する気はない?【企業側の心理】
企業が紹介予定派遣という制度を利用するのには、明確な理由があります。それは、採用のミスマッチを防ぎ、結果としてコストを削減したいという経営上の本音です。
通常の正社員採用では、書類選考や数回の面接だけで候補者の本当の働きぶりや人柄を見抜くのは困難です。その上、採用活動には膨大な時間と費用がかかります。
リクルートの「就職白書2020」によると、新卒社員1人あたりの平均採用コストは93.6万円、中途採用では103.3万円にも上るといわれています。(参考:「就職白書2020」|就職みらい研究所)
多額のコストをかけて採用した人材が、もし社風に合わず早期退職してしまえば、企業にとっては大きな損失です。だからこそ、最長6ヶ月の派遣期間で働きぶりをじっくり見極められる紹介予定派遣は、企業にとって非常に合理的な採用手法なのです。



採用にかかるこれだけのコストを考えると、企業がミスマッチを避けたい気持ちもわかりますよね。お互いにとって「こんなはずじゃなかった」を防ぐための制度と考えると、納得です。
紹介予定派遣から正社員になれる確率
紹介予定派遣から正社員になれる確率は約41%でした。
この結果は、この結果は「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果|厚生労働省」と「独立行政法人労働政策機構」の資料を参考にして算出したものです。
しかし、注意したいのは「直接雇用=正社員」ではない点です。
この直接雇用の内訳には、正社員だけでなく契約社員や嘱託社員なども含まれます。そのため、直接雇用された人の中から、さらに正社員として雇用されるケースを計算すると、最終的に全体の約41%の数字になるのです。
詳しくは「紹介予定派遣から正社員になれる確率」について書いた記事をご覧ください。





「約41%」と聞くと、少し低いと感じるかもしれません。でも、これがリアルな数字です。だからこそ、次の章で解説する「だまされないためのポイント」が重要になってきます。
「正社員登用」の言葉にだまされないためのポイント
ここまでの解説で、紹介予定派遣のリアルな実態が見えてきたと思います。では、後悔しないためには具体的にどう行動すればいいのでしょうか。
重要なポイントは「入社前」と「入社後」、2つのタイミングでの確認です。
直接質問する(会社入社前)
もっとも重要なのが、派遣として働く前に疑問や不安を解消しておくことです。
受け身の姿勢でいるのではなく、面談などの機会を利用して、あなたから主体的に質問しましょう。「こんなことを聞いたら失礼かな」と遠慮する必要はまったくありません。
質問の前に「御社で長く貢献したいと考えておりますので、ぜひ参考にさせてください」と一言添えるのがおすすめです。
あなたの働く意欲をアピールすることで、採用担当者も快く質問に答えてくれるでしょう。


特に好条件なのに、なぜか長期間掲載され続けている求人には注意が必要です。
本当に良い条件なら、すぐに募集が終わるはずですからね。少し疑うくらいの気持ちで確認しておくと安心ですよ。
正社員登用の実績を確認する(会社入社後)
もし入社前に聞きそびれてしまった場合でも、諦めるのはまだ早いです。入社後、職場に慣れてきたタイミングで、それとなく実績を確認してみましょう。
話しやすい先輩や上司、同僚をつかまえて、「ここって、派遣から正社員になった方とかいらっしゃるんですか?」といった形で、自然な会話の中で聞いてみるのがおすすめです。
もし過去に登用の実績があれば、あなたにも十分にチャンスがあると考えられます。
逆に「実績なし」とわかっても、悲観する必要はありません。紹介予定派遣は2000年に始まった比較的新しい制度であり、企業側もまだ活用実績が少ないケースもあります。あなたが正社員登用の第1号になる可能性だって十分あります。



実績の有無も大切ですが、最終的にはあなたの働きぶり次第です。
「この人なら、うちの会社の正社員第1号に推薦したい!」と思ってもらえるように、日々の業務を頑張ることが一番の近道ですよ。
【紹介予定派遣 嘘】派遣から正社員登用される2つのルート
派遣から正社員を目指すルートは、主に2つあります。「紹介予定派遣」と、通常の派遣からの「引き抜き」です。それぞれの特徴を下の表で比較してみましょう。
| 正社員になれる確率 | メリット | デメリット | |
| 紹介予定派遣 | 約41% | 事前に職場の状況を知れる | 一般派遣より選考が厳しい |
| 派遣からの「引き抜き」 | 約20% | 「仕事先から認められている」という安心感、やりやすさ | 紹介予定派遣より正社員登用される可能性は低い |
直雇用前提の紹介予定派遣
こちらは、最初から正社員として直接雇用されることを前提とした働き方です。
先述したとおり、紹介予定派遣から正社員になれる確率は約41%です。メリット、デメリットは以下のとおりです。
- メリット:派遣期間中に職場の雰囲気や仕事内容を自分の目でしっかり確認できること
- デメリット:正社員候補として見られるため、通常の派遣よりも採用のハードルが高くなる傾向がある
派遣社員で働いている中での「引き抜き」
こちらは、通常の派遣社員として働いている中で、その能力や人柄を企業が高く評価し、「ぜひ正社員としてうちに来ないか」とスカウトされるケースです。
企業から「あなたが必要だ」と認められた状態からスタートできるため、入社後もスムーズに働きやすいのがメリットです。
一方、そもそも企業は正社員候補として派遣社員を受け入れているわけではありません。「人手不足を補うための即戦力」を求めているため、引き抜きに至る可能性は紹介予定派遣よりも低くなるのがデメリットです。



紹介予定派遣は「正社員になるための王道ルート」、引き抜きは「実力で勝ち取る特別ルート」というイメージですね。
確実に正社員を目指すなら、やはり最初からその前提で話が進む紹介予定派遣を選ぶのが現実的といえるでしょう。
紹介予定派遣で正社員登用は嘘に関するよくある質問
ここでは、紹介予定派遣に関するよくある質問にお答えしていきます。
紹介予定派遣で正社員になる確率を上げる良い方法はありますか?
確率を上げるために意識すべきポイントは、主に以下の4つです。
- 勤務はなるべき休まず皆勤を目指す
- 派遣で働いている中、周囲と関係構築を図る
- 面接で明確に正社員になりたいことを伝える
- 紹介予定派遣につよい派遣会社を選ぶ
基本的なことですが、社会人としての信頼を積み重ねることがもっとも重要です。



とくに派遣会社選びは大切です。会社によって持っている求人の数や種類、サポート体制も違いますからね。
「紹介予定派遣につよいおすすめの派遣会社」は下記の記事で詳しく解説しています。


紹介予定派遣の直雇用を断られました。これは釣り求人だったのでしょうか?
直接雇用を断られたからといって、必ずしも釣り求人だったとは限りません。
まずは、何が評価されなかったのかを具体的に知ることが重要です。派遣会社の担当者を通じて、「今後のために、評価されなかった点があれば具体的に教えてほしい」と確認してもらいましょう。
もし、企業側の回答があいまいだったり、不誠実だったりした場合は、釣り求人の可能性も疑われます。その際は、派遣会社の担当者に以下の点を確認してみてください。
- これまで紹介予定派遣で直接雇用になった人の有無
- 直接雇用後の雇用契約は正社員なのか
- 派遣先で派遣社員はどれくらいいるのか
人は嘘をついていると、どこかで話のつじつまが合わなくなります。冷静に、しかし毅然とした態度で事実確認をすることが大切です。
紹介予定派遣で正社員になれなかった理由で多いのはなんですか?
直接雇用に至らなかったケースでは、主に以下のような理由が挙げられます。
- やる気を感じない
- 会社の雰囲気や環境になじめない
- 派遣先の求めるスキルがない
- 社風に合わないと判断された
上記の理由が多いです。


スキルも大切ですが、会社との相性も同じくらい重要です。こればっかりは、実際に働いてみないとわからない部分です。
だからこそ、入社前に職場の雰囲気を体感できる紹介予定派遣は、ミスマッチを防ぐ上で大きなメリットがあるといえます。
40代から紹介予定派遣で正社員になれますか?
結論、紹介予定派遣でなることは可能です。
しかし、20代や30代に比べて求人数が減少し、その分、競争率が高くなるのは事実です。これまでの経験や専門スキルがよりシビアに評価されるため、誰でも簡単になれるわけではありません。
とはいえ、企業が求めるスキルや経験を持っていれば、年齢に関係なく正社員になれるチャンスは十分にあります。


もし40代からチャレンジするなら、「狭き門」であることは覚悟しておいた方がいいかもしれません。これまでのキャリアをどう活かせるか、しっかりとアピールすることが重要ですね。
40代で紹介予定派遣は目指せるのか以下の記事で詳しく解説しています。


契約社員の場合の「正社員登用あり」は嘘が多いは本当ですか?
すべてが嘘というわけではありません。
ただし、「正社員登用制度」があると記載されていても、過去に一度も登用実績がない企業が存在するのも事実です。なかには、達成困難な目標を掲げ、それをエサに労働力を確保しようとする悪質なケースもゼロではありません。
もし契約社員の「正社員登用あり」求人に応募する場合は、以下の点を必ずチェックしましょう。
- 過去の正社員登用の実績(人数や割合など)
- もし実績が不明な場合は、派遣会社の担当者に確認してもらう
- それでもわからない場合は、面接で直接質問する


「質問したら、相手に悪い印象を与えないか心配……」と感じる必要はありません。
あなたの貴重な時間を無駄にしないためにも、勇気を出して確認することが、ブラックな環境で働くリスクを避ける一番の方法ですよ。
なお、紹介予定派遣から契約社員になるのはやばいのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。


紹介予定派遣から正社員登用は嘘ではない
結論として、紹介予定派遣での「正社員登用あり」は嘘ではありません。



実際に私も派遣から正社員登用の声がかかった経験があり、その後、紹介予定派遣を利用して正社員になりました。
ではなぜ「嘘」「厳しい」と言われるのでしょうか。
その背景には、下記のような誤解が存在します。
- 「正社員登用のハードルが非常に高い」
- 「求人集めのための甘い言葉ではないか」
- 「派遣先は中小企業が多いのでは」
- 「結局は契約社員止まりなのでは」
しかし、記事内で解説したように、大手企業も活用しており、正社員前提の求人も一定数存在するのが実態です。
大切なのは、「正社員登用」という言葉だけに飛びつかず、後悔しない選択をするための行動です。具体的には、働く前に企業の採用方針や過去の実績について直接質問し、疑問点をクリアにすることです。そして、もし働きはじめた後であれば、社内で登用実績などを確認してみましょう。
紹介予定派遣で働きたい方は下記の記事もあわせて読んでください。





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